治療には周囲の理解が大切

依存症は否認の病気とも言われており、本人が気付かないうちに進行していくのが特徴だ。
人は何かに頼っていなければ不安になることが多い。中でも、通常は配偶者等の家族が対象になる傾向が強い。だが、依存症になりやすい人は心理的に頼る相手がいないため、特定行為に頼ることで安心感を得る。
依存症治療の最終的な目的は、良好な関係で人との繋がりを持つことにある。しかし、今まで頼っていた特定行為からすぐに切り離そうとすると、心理的に不安になって依存症が加速する危険性があるため、専門の医療機関での治療が必要になってくるのだ。
精神科を受診すると、服薬治療とカウンセリングの併用が行われることが多い。長く特定行為に浸かっていた影響で、肉体的にも精神的にも疲弊している可能性が高いため、服薬によって安定を図っていく。
同時にカウンセリングを行い、心の中に溜まっているものを吐き出させるのだ。これを繰り返すことで心のモヤモヤが解消され、特定行為への欲求の改善へと繋げていくことになる。
また、依存症ごとの自助グループがあるため、それに参加することで気持ちを共有することもできる。自助グループは同じような悩みを持った人が集まっており、話し合いから共感性が生まれ、人との繋がりができるのだ。
依存症治療で最も大切なことは孤独にさせないことと、人との繋がりで安心感を与えることだ。そこで、治療に携わる看護師は依存症の人を否定せず、温かい心で本人と接する態度が大切となってくる。